先日、眼医者さんの外来で順番を待っていた
時のことです。
その眼科は評判がよく、いつも混み合っています。
その日は、ポニーテールが良く似合う女の子、
3歳くらいでしょうか?
と、ママがお隣に座っていました。
女の子は、待合室の本棚から絵本を引きずり
出してきて、読み始めました。
そして、可愛い声で歌い始めました。
女の子が「ママ、十五夜のうさぎさんってなに?」
と聞きました。
そのママのお返事がとても素敵でしたので、
皆様に聞いていただきたくて、
なるべく忠実に書いてみます。
みゆちゃん、まん丸お月さまの時に、
月にうさぎが見えるねって言ったの覚えてる?
お月さまはまん丸になったり細くなったりする
けど、細い時も、うさぎさんはいるかなあ?
「どうかな…わかんなーい。」
ママはゆっくりとお話をつづけます。
むかし、天竺という所にサル、キツネ、ウサギの
3匹がいました。
3匹は、自分たちが人間ではないのは、
生まれる前に何か悪いことをしたからに違いないと、
いつもいつも悲しく思っていました。
そして、せめて人の役に立つことをしよう!
と、話し合っていたのです。
それを見ていたおしゃか様は自分を
お腹を空かせた老人の姿に変えました。
そして3匹の前に現れ、彼らがどのように
善い行いをするのか試してみようとしたのです。
3匹は、疲れた様子の老人を見て、
やっと人の役に立てると喜びました。
サルは木から沢山の木の実を取り、
老人に差しだしました。
キツネは鳥や魚を獲って、老人にささげました。
でも、ウサギはサルのように木の実を獲ることも、
キツネのように鳥や魚を獲ることもできず、
ただ悩んでウロウロするばかりです。
何もしてあげられないと思ったウサギは老人の前で
火を焚き、
「何もできない私です、どうかこの身を
食べて空腹を満たしてください。」
と火の中に飛び込んで焼かれてしまいました。
おしゃか様は、お前達の優しい気持ちは良く解った。
次に生まれてくる時には、きっと人間にしてあげよう。
それにしても、ウサギはずいぶん尊い行いをした。
月の中に、ウサギの姿をずっと残してやろうと思う。
けれど、自分から死んではいけないよ。
とおっしゃいました。
こうして、月にはうさぎの形が残ることになったのです。
また、特別なお力でウサギを元の姿に戻してあげました。
めでたしめでたし。
ママのお話しが終わりました。
みゆちゃんは、「うさぎさんは、アンパンマンみたいだね。」
と嬉しそうでした。
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